08. さまざまなファイル形式
目的
Photoshopで扱う代表的なファイル形式を理解し、「編集用」と「書き出し用」の違いを明確に把握することで、 用途に合わせて適切な形式を選べるようになることを目指します。
この章で学べること
- Photoshopで扱う主要なファイル形式の種類と役割が理解できる
- 「編集用」と「書き出し用」という2つの大きな分類がわかる
- PSD形式がなぜ重要なのか(レイヤー保持・編集可能など)が説明できるようになる
- PSB形式が必要になるケース(大判・超高解像度・スマートオブジェクト内部)が理解できる
- JPEG・PNG・GIFなど書き出し形式の違いと使い分けができるようになる
- 透過が必要なときに使う形式(PNG)が判断できるようになる
- 印刷用の形式(TIFF・PDF)が持つ特徴を理解できる
- 納品やSNS投稿に最適な画像形式(JPG・PNG)を選べるようになる
- ファイル形式の選び間違いによるトラブルを未然に防げる
- 実務で必要な「用途に応じた形式選択」の考え方が身につく
① 編集・保存用の形式(作業データ)
Photoshopで制作する際、まず知っておくべきなのは「編集可能な状態で保存するための形式」です。 後から何度も修正するデザイン作業では、必ずこれらの形式を使います。
PSD(.psd)ピーエスディー
Photoshop独自の標準形式で、もっとも重要な保存形式です。
特徴
- レイヤー、マスク、調整レイヤー、文字、スマートオブジェクトなどをすべて保持
- 編集途中の作業データとして最適
- 保存しておくことで作業を完全な状態で再開できる
用途
- デザイン作業中の保存(上書き・別名保存)
- プロジェクトのバックアップ
- 修正依頼に対応するための元データとして保持
PSB(.psb)ピーエスビー
PSDの“ビッグドキュメント版”で、巨大なデータ用の保存形式です。
特徴
- PSDの制限(約2GB)を超える大きなデータを扱える
- 大判印刷や超高解像度処理で必須
- スマートオブジェクト内部が大きい場合、自動でPSBとして開かれることがある
用途
- 大型看板・横断幕などの大判デザイン
- 極端に大きい画像(30,000px以上)を扱うとき
- パノラマ合成など高解像度が必要な制作
② 書き出し・共有用の形式(納品・画像化)
クライアントへ渡したり、Web・SNSで使用する際は「画像」として書き出す必要があります。
JPEG(.jpg / .jpeg)ジェーペグ
特徴
- ファイルサイズを小さくできる圧縮形式(非可逆)
- 保存のたびに画質が少しずつ劣化する
- 写真やWeb画像に最も広く使用される
用途
- Webサイトの画像
- SNS投稿・ブログサムネイル
- 容量を軽くしたいバナー
PNG(.png)ピング
特徴
- 画質が劣化しない可逆圧縮
- 背景透過ができる(透明データ対応)
- 容量はJPEGより大きくなりがち
用途
- ロゴ・アイコン
- 切り抜き画像(背景透過が必要なもの)
- Webデザインの細かいパーツ
GIF(.gif)
特徴
- 256色のみ対応
- アニメーションが作れる
- 簡易的な動く画像で広く使われる
用途
- 簡易アニメーション
- Web用の小さなバナー・アイコン
TIFF(.tif / .tiff)ティフ
特徴
- 高画質で保存できる形式
- 非圧縮または可逆圧縮で画質劣化がない
- 印刷業界で標準的に利用される
用途
- 印刷会社への入稿データ
- 写真を高品質で保管するとき
PDF(.pdf)ピーディーエフ
特徴
- 複数ページに対応
- 画像・文字・ベクターデータを保持できる
- クライアントへの確認資料として使いやすい
用途
- 印刷用データの入稿
- レイアウト確認資料としてクライアント提出
- 複数ページの簡易資料作成
③ 編集用と書き出し用のちがい(まとめ)
- 編集用 → PSD / PSB レイヤーが残り、後から修正できる。
- 書き出し用 → JPG / PNG / GIF / TIFF / PDF クライアントへ渡したり、Webで使うための完成画像。
- 初心者がまず覚えるべきはこの3つ: PSD(作業) / JPG(共有) / PNG(透過)
まとめ
Photoshopでは、目的によって使うべきファイル形式が大きく変わります。 「編集用」「書き出し用」の違いを理解すると、 納品トラブルを防ぎ、制作作業もスムーズに進められるようになります。
まずは PSD・JPG・PNG を軸に覚え、
必要に応じて PSB・TIFF・PDF なども使い分けていきましょう。